令和を駆け抜ける

誣告と讒言を憎む評論。

私の思う、剣道体験会のやり方

 私の考えとしては、剣道体験会をするとき、どうしてもやっておきたい点と注意点は次の5つです。

 

1、礼儀作法。

 細かくやる必要はないですが、少なくとも神前や指導者、お互いの礼をしたり、立ち合いが礼から始まり礼で終わる、ということをやってもらいます。

 本来であれば、正座の仕方、手の付き方、礼の角度の違い、立ち合いでは九歩の間を取り、蹲踞しつつ構える等の多々の指摘があり得ますが、そういったことは削ぎ落として、中核を成す部分だけ体験してもらえれば良いと考えます。

 もちろん、時間さえあればしっかりと指摘する方が良いと思います。

 

2、有段者の打突を見る。

 有段者の厳しい打突を見たことがあるのと、そうでないのとでは、取り組む姿勢が変わります。

 有段者の打突を見せるためには有段者と有段者の打突を受ける人が必要です。

 有段者の打突を受ける人は、少なくとも剣道経験者である必要があります。できれば有段者が望ましいです。

 

3、面、小手、胴を打つ。

 できれば道着や袴を着て欲しいですが、動きやすい服装であれば、竹刀を振るのに差し支えありません。

 また、子供用の竹刀と大人用竹刀は長さが全く違います。

 大人の有段者や剣道経験者でも、普通は子供用竹刀を持っていないので、子供の参加者を想定するときは用意しなければなりません。

 子供用竹刀については剣道具を扱っている武道具店なら相談に乗ってくれると思います。

 

4、応用技を一つ以上打つ。

 応用技をすれば、スローモーションの面打ちに対しての抜き胴がほとんどとなるでしょうが、そのときの体験者のできそうな技を見極め、できれば柔軟に対応して他の技もやるとよいと思います。

 

5、その他一般的な注意点

 怪我のないように準備運動は欠かせません。特に、冬はアキレス腱の断裂のないようにしっかりと伸ばすことが肝要です。

 また、竹刀のチェックも必要です。本来であれば竹刀を使う本人が竹刀に割れやささくれがないか等チェックするものですが、体験会の参加者はいわば素人がほとんどでしょうから、実施する側が逐一チェックするしかありません。

 

 最後に、私ならば、体験会の最後には次のようなことをいいたいと考えています。差し出がましいようですが、どうぞご参考までに。

「今日、みなさんには色んな技をやってもらいました。なかでも、抜き胴という技は印象深かったのではないでしょうか。」

「抜き胴というのは、抜き技という種類の技です。抜き技一つにしても、面抜き面、小手抜き面などの種類があり、そもそも技の種類には、抜き技の他にも、二段技や出頭技、巻き技、打ち落とし技、すりあげ技、返し技などの種類があります。本格的に剣道を始めるといろんな技を学ぶ機会があります。」

「しかし、本格的に剣道を始めると、もっともっと強くなるために、より厳しくて辛い稽古や、一つ一つの積み重ねで上達するために、おもしろくないとても地道な稽古をするようになります。」

「それでももっと強くなりたい、それでも自由自在に色んな技ができるようになりたい、あるいは、剣道の精神を身に付けるんだという子は、是非とも剣道団体に加入して本格的に稽古を始めてくれたら幸いです」

「どこの剣道団体の先生でも、あなたが強くなるための、あなたが上達するための稽古をしてくれます。しかし、もう一度言います。本格的に剣道を始めると、とても厳しいですし、つらいですし、おもしろくない地道な稽古もたくさんあります。たとえば、今日はやりませんでしたが足の動かし方。すり足あるいは送り足といって、左足が右足を追い越さないように動かします。とても地道で、しかも難しいです。そういった稽古でもやり抜くんだという強い意志のある子は、是非ともお近くの剣道団体に問い合わせて本格的に剣道をやってくれたらと思います」。